アンビグラムとは、ある文字(一文字、単語、文も含む)を本来の向きで読めるだけでなく、違う見方をしても読める文字アートです。
逆さまにしたり横から見たりと異なる方向から見ても読むことができたり、鏡に映すと読めたり、そのままでも2通り以上に解釈して読むことができたり、文字の隙間が文字になっていたりするなどのようなトリックアート的なデザイン文字のことです。
普通の文字(一つの読み)だと思っていたら、別の文字あるいは別の見方が隠されているのがアンビグラムの面白いところです。
ダグラス・ホフスタッターという方は、アンビグラムのことを「2つの異なる読み方を同一のひとそろいの曲線に何とかして押し込める筆記体デザイン」と説明しています。(Wikipediaより)
ある意味、無理やり読めるように変形させているデザイン文字とも言えますね^^;
アンビグラムは、アメリカ発祥の文字アートで、「天使と悪魔」という映画で使われていることでも有名です。
「water、air、fire、earth」のアンビグラムを見たことがあるのではないでしょうか。
私の場合は、アルファベットのものもたまに作りますが、主に漢字や平仮名・片仮名を使った日本語のアンビグラムを作っています。
アンビグラムの種類
アンビグラムには、作り方によりいろいろな種類があります。
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Rotational(回転タイプ)
180度、90度、45度など回転させるともう一つの文字が読めるアンビグラムのこと。
回転させると違う読み方になるタイプと、同じ読みになるタイプがあります。
(「アンビグラム」を逆さまにしても同じ形の「アンビグラム」に。)
「御祝」を180度逆さまにして見ても「御祝」に見えます。
「御」が逆さまになると「祝」という違う漢字になっているとも言えます。
(自分の名前の片仮名で「イトウサトシ」。「イトウ」を180度回転させて「サトシ」に見えるようにしています。)
(自分の名前の平仮名で「いとうさとし」。「いとう」を180度回転させて「さとし」に見えるようにしています。)
(「空前絶後」を180度逆さまに見ると、「超絶怒涛」という違う漢字になっています。)
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Mirror(ミラータイプ、鏡反射タイプ、鏡像型)
線対称で、鏡に写したように反対にした(裏返した)文字図形が別の文字に読めるアンビグラムのこと。
垂直軸線対称と水平軸線対称、あるいは斜め軸線対称のものもあります。
これも反対にした文字図形が違う読み方になるタイプと、同じ読みになるタイプがあります。
また、文字そのものが線対称な形状になっていて読めるものもあります。
(平仮名で「いとうさとし」。真ん中を縦軸として「いとう」を反転して「さとし」に見えるようにしています。)
(「書道」を水平軸線対象に裏返すと「習字」に見えます。)
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Figure-ground(図地反転タイプ)
文字(図)の隙間の空白部分(地=背景)が別の文字に読めるタイプです。
「図地反転」は心理学の説明でよく使われる「ルビンの壺」が有名ですが、絵ではなく文字のバージョンが図地反転アンビグラムです。
(黒の部分が「いとう」で、白の部分が「さとし」。)
(ピンクに注目すると「愛」、水色に注目すると「夢」に見えます。)
(「鳥」の漢字を四角形で囲った隙間が「魚」と読めます。)
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Perceptual shift(振動タイプ)
文字の形状の解釈の仕方によって2つ(2つ以上の場合もある)の異なる文字や語に読むことができるタイプ。
(私の「だまし漢字」と名付けている作品がこのタイプになります。「ことば漢字」は平仮名を組み合わせて漢字の形に構成する「組み文字」ですが、その中でも平仮名がまっすぐに並んでいて素直に読めるものは振動タイプのアンビグラムと言えます。)
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Chain
文字や語を繰り返し並べて、途中からも読めるタイプ。
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Fractal
いわゆるフラクタル(自己相似)で、図形の一部分と全体の形が相似になっているタイプ。
などなど。
その他、平面的なデザインだけでなく立体的にXYZ軸の3方向で異って見えるようなタイプのアンビグラムもあります。
アンビグラムに関するうんちくは、このくらいにしておいて、
ここからは、いとうさとしのアンビグラム作品を楽しんでください。
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